季刊誌

日本の扉 浅草 Vol.36

槐の会季刊誌36号

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コラム:8代将軍吉宗公ゆかりの浅草流鏑馬

毎年4月第3土曜日に隅田公園の 特設馬場で催される「浅草流鏑馬」。 武士の衣装を身に着けた射手が、 疾駆する馬の上から弓を放ち、木の 的がバンと割れる様は勇壮にして 風流。我らがこ隠居も、かなりお好き なようで…。

イベント続きの浅草の春

は~、隅田川の桜はいいねえ。何しろ八代将軍吉宗公が植えさせたのが始まりってんだから、もう300年近い歴史があるってことだ。途中で代替わりはあったにしても、300年は伊達じゃない。オレたち人間も頑張らないといけねえな。
だけど、浅草の春は桜で終わらないからいいね。早慶戦のレガッタ、4月の末の玉姫稲荷のこんこん靴市、と続くうちに三社祭がやってきて、あっという間に夏が来る。寂しがってる暇なんてねえからよ。
そういえば例年4月の半ばに隅田川の土手で開かれる浅草流鏑馬は見たことがあるかい?ドドドっと走る馬の上から弓矢で的を射る行車だ、ありゃいいね。え?何でも首を突っ込みたがるオレだから、流鏑馬もやったことがあるんじゃないかって?ハハハ、勘弁、オレはスピードの出る乗り物は苦手なんだ。第一それ以前に、誰でもできるってもんじゃないんだぜ。

頼朝や吉宗が好んだ行事

そもそも流鏑馬ってのは、天武天皇の時代に始まった宮廷行事だったんだ。「日本書紀」に「馬的射」と書かれていて「むまゆみいさせ」と呼んだらしい。だけど平安時代の末になるとお公家さんは衰退し、お武家さんが好んで流鏑馬をするようになる。特に重視したのが源頼朝公で、1187年に奉納した記録が残ってる。今でも鎌倉の鶴岡八幡宮で開かれているやつだな。その後また流鏑馬の歴史は途絶えるんだけど、およそ400年ぶりに復活させたのが、何を隠そう吉宗公。お世継ぎが疱瘤にかかったのが治るようにと、高田馬場近くの穴八幡室に願賭けて奉納したところ、ぶじにお世継ぎは元気になったってんだ。今でも早稲田大学に近い穴八幡宮に行けば、交差点を見下ろすような感じで大きな流鏑馬の像が立っているのは、なかなかの見ものだよ。

ちょっと違った浅草の流鏑馬

浅草がなかなか話に出て来ないって?焦っちゃいけないよ。浅草での流鏑馬は江戸時代に三社権現の神職だった田村八太夫という人によって始められ、毎年1月 5日に正月の神事として行なわれていた。 天保年間に書かれた「東都歳時記」などによれば、弓矢を射るのは神職だったそうだ。神社の人が馬から矢を射るなんてびっくりたまげるけど、馬は立ち止まっていて、矢も作り物という、多分に儀礼的なものだったらしい。鬼と書かれた的を射て厄除けをしたり、空に向かって放った矢を集まった人たちが拾い、持ち帰ってお守りにしたりと、オレたちが知ってる流鏑馬とはだいぶ違ったものだったらしい。これに似た神事は今でも、「歩射」とか「おびしゃ」とか言って、日本各地で行なわれているよ。
現在、隅田川の土手で開かれているのは、そうした歴史を踏まえて台束区が1883年に復活させたもの。観光行事として、走る馬から 射る古式ゆかしい形式を採用したんだ。

馬とは儀式当日に初対面

ところで今、流鏑馬を執行しているのは武田 流と小笠原流という二つの流派。どちらも清和源氏の流れを汲んでいる由緒正しき団体で、日本各地で開かれる流鏑馬の多くは、このどちらかが招かれているんだ。中には地元の氏子さんが自分たちで継承している神奈川県の室生神社流鏑馬なんかもあるけれど、今の時代、お馬の稽古も簡単にはできないからね、少数派だよ。
浅草流鏑馬は小笠原流。ナントカ流っていうのは武土の礼法の流派で、流鏑馬ばかりやってるわけじゃない。生活全般に武士の作法や心得を取り入れていて、馬術や弓術はその一礫つてことだ。前に小笠原流の人に話を聞いたら、武士は合戦の前だけ練習をしたのではなく日常生活の中で鍛錬をしていたから、それと同じように日頃の動作や姿勢も意識しているって 言ってたな。
各地の流鏑馬神事では、自分たちが普段乗り馴れている馬でなく、その日初対面の馬をあてがわれることが多い。馬の機嫌も日によりけりで、いかに合わせるかが大変なんだって。どんな事態に遭遇しても慌てす騒がす、冷静に対応するのが武土の心得ってことかな。そういうことを知ってから見ると、流鏑馬もまた違って見えるんじゃねえかな。
吉宗公ゆかりの隅田川で見る、吉宗公ゆかりの流鏑馬。近年、見学エリアの大部分が有料化されちまったのは残念だけど、落ち議いて見られるって意味ではそれもいいかもしれねえな。

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