季刊誌

日本の扉 浅草 Vol.5

槐の会季刊誌5号

掲載内容

代表的催事(12月~2月)
浅草周辺マップ
浅草エリアマップ(東西南北および中央部の5エリア)
コラム「歌舞伎400年の幕開けを浅草で」
浅草槐の会・マップリスト(会員店詳細)
浅草歳時

コラム:歌舞伎400年の幕開けを浅草で

平成15年は、江戸開府400年の記念の年。都内各所でこれに因んだ行事が計画される中、ここ浅草でも新春よりさまざまな催しが練られ、一層のにぎわいが期待される1年となります。まずは、新年の訪れとともに幕を明ける「新春浅草歌舞伎」。平成15年は、出雲の阿国が歌舞伎踊りを披露してから400年という節目の年でもあります。当時の歌舞伎興隆の中心地を「猿若町」という地名で残す浅草は、今でも芝居に理解の深い土地柄です。多くの歌舞伎役者さんにもご贔屓いただき、例年、浅草公会堂で催される新春興行は、若手役者の登竜門とも呼べる公演へと育ってきました。

浅草においでの皆様にもお楽しみいただいている新春興行ですが、さらに今年は「浅草総見の日」を儲け、芸者衆が人力車で芝居見物にやってきたり、観劇後の食事を料亭で楽しめる特別チケットを販売するなど、さまざまな趣向で江戸文化を楽しんでいただけることになりました。また、終演時間を以前より早めに繰り上げ、お芝居が跳ねた後もゆっくりと浅草で過ごしていただけるよう心を配りました。こうした街を挙げての取り組みに、これまで以上に浅草歌舞伎を盛り上げようという気運が高まる中、初芝居の舞台に立つは平均年齢26才という若手役者の、面々。中でも「中村座に初縁の深い浅草で歌舞伎を演じられるのは嬉しいこと」とおっしゃる中村勘太郎さんを、浅草槐の會の勉強会にお招きしました。この席上、平成12年から催されている平成中村座での公演をはじめ、浅草への特別な思いを語って下さった勘太郎さんに、そのお返しにと、この日の聞き役であった文扇堂のご主人から明かされたエピソードには誰もがびっくり。実は勘太郎さんの誕生前、男児出産を祈願し、浅草寺の腹帯が店主の手で勘久郎さんに渡されていたと言うのです。「知りませんでした。そんなところでも浅草とのつながりがあったんですね」と。感慨深気な勘太郎さん。他にも、勘太郎さん曰く、「口を開けば芝居の話しになる」という父・勘久郎さんとの、楽しくも厳しい父子・師弟関係を披露いただきなど、とても和やかな勉強会となりました。

さて、新春浅草歌舞伎の演目についてですが、「菅原伝授手習鏡 車引」「奴道成寺」「義経千本桜 川連法眼館の場」をひかえ、歌舞伎の多様性を存分に楽しめるプログラム構成となっています。しかも午前と午後の部では主な配役を入れ替え上演するという、意欲的な取り組み。1日に男性(車引の梅王)から女性(義経千本桜の静御前)へ、女性から狐(義経千本桜の左藤忠信・源久郎狐)へと役柄を変えていく勘太郎さんは「それぞれ異なる発声で演じていくので、喉を痛めやすいプログラムだと言われています。これを歌舞伎の世界では”調子をやりやすい”と言うんですが、なんとしても1ヶ月間、調子をやらずに演じ通したい」と強い決意をのぞかせてくれました。若さに驕ることなく体調管理に気を配る姿勢には、プロの役者魂を垣間見る思いです。
英気あふれる若手役者の清澄を見守れる喜びと、将来への大いなる期待を胸に、歌舞伎400年を飾る浅草のお正月は華やかに始まります。

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